2026/10/07

業務自動化・私たちの考え方

会計ソフトや Microsoft 365 を入れ、事務の自動化について AI にも聞いてみたのに、返ってくるのは、もっともらしいが自社には合わない答えだ、ということがあります。AI は、自社の前提を渡されない限り、平均的な会社に向けて答えるからです。その前提を集めて AI に渡し、任せる範囲と人が確かめる範囲に線を引くことを、社員15人ほどの私たちは、自分たちの事務でやってきました。

AI は、平均的な会社に向けて答える

AI は、何を作りたいかを持っていません。目的と前提を渡さない限り、平均的な会社に当てはまる答えを並べます。その答えは多くの会社に当てはまりますが、御社に合うとは限りません。

たとえば「届く請求書の処理を自動にしたい」と AI に聞くと、受け取りサービスや会計ソフトの機能を勧められます。足りるならそのほうが早いと、私たちも考えています。ただ、紙と FAX で届く、担当は1人、Microsoft 365 は入っている、と前提を渡すと答えは変わります。

答えが合わないのは、AI が間違っているからではなく、AI が御社の前提を知らないからです。

答えを分けるのは、自社の前提

作業を自動にするかどうか、どう自動にするかの判断は、4つの材料でできていると考えています。

  • 仕組みの理解:その作業が、どんな部品で、どのくらいの大きさの仕組みで動くか。
  • 自社の棚卸し:今ある道具と、あれば使える機械や人。無いことも持ち物のうちです。
  • 費用の感覚:月にいくらまでなら払うか。お金で済ませるか、自分たちの手間で持つか。
  • 引き受ける危険:止まったときに、どこまで困るか。それを自分たちで引き受けるか。

この4つのうち、棚卸しと危険は、御社の側にしかありません。棚卸しは、こちらから伝えれば AI も使ってくれます。むしろ難しいのは、それを伝えたほうがよいと気づくことです。

私たちの事務では、郵便で届いた書類をスキャンし、文字を読み取ってから整理しています。文字の読み取りには、ページ数で料金が決まるクラウドのサービスもありますが、私たちは、国立国会図書館が公開している読み取りのプログラムを自社のサーバで動かしていて、ページ数による料金はかかりません。この構成は、先ほどの4つの材料で決まっています。

  • 自社に、使えるサーバがある(棚卸し)。
  • ページ数で増えていく料金より、自分たちで動かす手間のほうを取る(費用の感覚)。
  • 止まったら、自分たちで直す(引き受ける危険)。
  • 読み取りは、一般的なコンピューター1台で動く仕組みだと分かっている(仕組みの理解)。

自社にサーバが無ければ、クラウドのサービスを使うほうが合います。どちらが正しいかではなく、前提が違えば答えが変わる、ということです。

前提を渡す仕事が、いちばん多かった

私たちが自分たちの事務を自動にしてきた中で時間をかけたのは、仕組みを作ることより、自社の前提を AI が読める形にそろえることでした。御社で言えば、次のようなことに当たります。

  • 郵便で届く書類を、紙のままにせず文字にしておく(実例1)。
  • FAX を紙で回さず、データのまま受け取る(実例2)。
  • 「この書類が来たら、誰が何をするか」という手順と判断の基準を、人の頭の中から社内の手引きに移し、AI にも読ませる。
  • 決めたことを、理由と一緒に書き留めておく。

どれも事務の片づけのように見えますし、技術として難しいことでもありません。ただ、これが無いと AI に渡せる前提が無く、答えは平均的な会社に向けたままです。最初の1業務なら、渡す前提は多くありません。この記事の最後に挙げる5つから始められます。

前提には、会社の外のこともあります。どの会社を相手に商売をするかは、渡さなければ AI が候補を際限なく挙げます。相手を決めるのは経営の判断で、渡して初めて答えが御社に向きます。私たちにとって前提をそろえる作業は、経営の判断を言葉にして書き出す作業でもありました。

任せる範囲と、人が確かめる範囲の線

AI に任せる範囲と、人が確かめる範囲の線は、「試しにかかる費用」で引いています。コンピューターの中で試して、失敗して、直すことにかかる費用は小さいので、そこは AI に任せます。社外への送信、送金、支払いのように、一度で取り返しがつかないことは、人が確かめたうえで進めます。

私たちの事務では、読み取りと仕分けまでを AI に任せ、支払いや返信は、人が元の書類を見てから決めています。AI は読み間違えます。だから、AI が読み違えても、そのまま支払いや返信にはつながらない順番にしています。決めるのは、いつも最後の人です。読む役と書き込む役を分け、人が確かめる点を置く形です。何を任せ、何を人に残したかは、経理のまとめの記事で表にしています。

AI には反対意見がありません。どの AI も、私たちが渡した前提しか持っていないので、前提そのものが間違っていても、誰も指摘してくれません。前提を確かめるのは、人の仕事として残ります。この線の引き方を、代表が技術者向けに書いた記事もあります(外部サイト)。

だから、お客様の環境の中に作り、説明書を残します

前提は、お客様の中にあります。だから私たちは、仕組みをお客様の Microsoft 365 などの中に作ります。私たちのサーバに、お客様の書類やメールを置くことはありません。御社で動かすときは、止まったことに気づく方法と、止まっている間の人の手順を先に決め、動き始めたあとは見守ります。説明書を残して、担当の方が替わっても引き継げる形にします。

無料相談(30分・オンライン)は売り込みの場にはせず、代表の髙橋が御社の前提を伺います。

AI に聞くとき、先に渡すとよい前提

次の5つを手元に置くと、AI の答えは御社に近づきます。決まっていなくても構いません。

  • 持ち物:今使っている道具(会計ソフト・Microsoft 365 など)。社内に機械や詳しい人がいなくても構いません。それも前提の一つです。
  • 量と頻度:届く紙・FAX・メールの種類と、月のだいたいの量。
  • 費用の感覚:月にいくらまでなら払うか。どこまでを自分たちの手間で持つか。
  • 引き受けられる危険:止まったら、どのくらい困るか。止まったことに、誰が気づくか。
  • 決める人:確かめて確定するのは誰か。支払いと社外への送信は、人が行います。

AI の答えが自社に合わないのは、前提を渡していないからです。前提を集めて渡す役があれば、AI の答えは、平均的な会社に向けたものから、御社に向けたものに変わります。その役を、御社の中だけで持つ必要はありません。無料相談は、私たちが御社の前提を伺うところから一緒に始めます。

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