2026/04/07
はじめに
Windows 11 HomeのPCにMacからSSH接続し、ABBYY Hot Folderの監視状況をリモートで確認できるようにしました。
社内のWindows PCでABBYY FineReaderによるOCR自動処理を動かしていますが、「ちゃんと動いているか」を確認するために毎回リモートデスクトップを開くのが手間でした。Windows 11 Homeはリモートデスクトップのホスト機能が使えないため、代替手段としてSSH接続を構築しました。
結果、ターミナルからコマンド一発で監視状態やログを確認できるようになり、日常的な確認作業が大幅に楽になりました。
この記事でわかること
- Windows 11 Home に OpenSSH サーバーを導入する手順
- Mac から SSH 鍵認証でパスワードなし接続する方法
- 「PINコードでログインできない」「鍵認証が効かない」など Windows 固有のハマりどころと対処法
- SSH を使った実務での活用例(OCR自動処理の監視)
なぜSSHを選んだのか
Windows PCへのリモート接続には、いくつかの選択肢がありました。
| 方法 | 特徴 | Windows 11 Home対応 |
|---|---|---|
| リモートデスクトップ (RDP) | GUI操作可能、Windows標準 | ホスト側は非対応 |
| TeamViewer / AnyDesk | GUI操作可能、外部ツール | 対応 |
| SSH | コマンドライン操作、Windows標準 | 対応 |
| PowerShell Remoting | コマンドライン操作、Windows標準 | 対応(設定が複雑) |
- Windows 11 Homeでも使える — RDPのホスト機能はPro以上が必要ですが、SSHはHomeでも問題なし
- 追加ソフト不要 — OpenSSHはWindows 11に標準搭載されている
- コマンドで完結 — GUI不要の確認作業にはSSHの方が高速
- 自動化しやすい — スクリプトやCLIツールから直接実行できる
やったこと
1. Windows側:OpenSSHサーバーのインストール
Windows 11 HomeにはOpenSSHクライアントは標準搭載されていますが、サーバーは手動でインストールが必要です。
「設定」→「アプリ」→「オプション機能」→「機能を追加」から「OpenSSH サーバー」を選択してインストールします。詳細は Microsoft公式ドキュメント「Windows 用 OpenSSH の概要」を参照してください。
2. Windows側:sshdサービスの起動と自動起動設定
PowerShellを管理者として実行し、以下のコマンドを実行します。
Start-Service sshd
Set-Service -Name sshd -StartupType Automatic
3. Windows側:ファイアウォールの許可
ポート22への接続を許可するファイアウォールルールを追加します。
New-NetFirewallRule -Name sshd -DisplayName 'OpenSSH Server' -Enabled True -Direction Inbound -Protocol TCP -Action Allow -LocalPort 22
注意: この設定はすべてのIPアドレスからのSSH接続を許可します。社内LANなど閉じたネットワーク内での利用を前提としています。外部に公開されたネットワークで使う場合は、接続元IPの制限やVPNの併用を検討してください。ファイアウォール設定の詳細は Microsoft公式「OpenSSH サーバー構成」を参照してください。
4. Mac側:SSH鍵の生成
パスワード入力なしで接続するために、SSH鍵を生成します。
ssh-keygen -t ed25519
すべてデフォルト(Enter連打)でOKです。
5. 公開鍵をWindows側に登録
ssh-copy-id [email protected]
ここで1回だけパスワードの入力が必要です。以降はパスワードなしで接続できます。
6. 接続テスト
ssh [email protected] "whoami"
ユーザー名が返ってくれば成功です。
つまったところ
「Operation timed out」で接続できない
最初にSSH接続を試みたところ、以下のエラーが出ました。
ssh: connect to host 192.168.x.x port 22: Operation timed out
原因はWindows側のsshdサービスが起動していなかったことでした。手順2のサービス起動と自動起動設定で解決しました。
「Permission denied」でパスワードが通らない
接続はできるようになったものの、パスワード認証で弾かれました。
[email protected]: Permission denied (publickey,password,keyboard-interactive).
Windows 11にPINコードだけでログインしており、パスワードが未設定だったことが原因です。管理者コマンドプロンプトでパスワードを設定して解決しました。
net user your-user 新しいパスワード
なお、PINコードはSSH認証では使えません。文字列のパスワードが必要です。
鍵認証が効かない(Windows固有の問題)
ssh-copy-idで公開鍵を送った後も鍵認証が効かないケースがありました。WindowsのOpenSSHでは、管理者ユーザーの場合authorized_keysの参照先が通常と異なる場合があります(Microsoft公式「OpenSSH のキー ベース認証」)。
以下の2箇所に公開鍵を配置することで解決しました。
C:\Users\your-user\.ssh\authorized_keys
C:\ProgramData\ssh\administrators_authorized_keys
配置後、sshdの再起動を忘れずに。
net stop sshd & net start sshd
活用例:ABBYY Hot Folderの監視
SSH接続を構築した目的である、OCR自動処理の監視がコマンド一発でできるようになりました。
タスクの実行ログを確認
ssh [email protected] "type \"C:\Users\your-user\AppData\Local\ABBYY\FineReader\16\HotFolder\マイ タスク.log\""
Hot Folderのプロセスが動いているか確認
ssh [email protected] "tasklist | findstr -i abbyy"
監視対象フォルダの中身を確認
ssh [email protected] "dir \"C:\Users\your-user\OneDrive\監視フォルダ\""
GUIを開くことなく、ターミナルから数秒で状況が把握できます。
まとめ
- Windows 11 HomeでもOpenSSHサーバーをインストールすればSSH接続できる
- RDPが使えないHomeエディションの代替手段として有効
- 鍵認証を設定すればパスワード入力なしで接続可能
- PINコードではSSH認証できないので、パスワードの設定が必要
- Windowsの
administrators_authorized_keysの仕様に注意
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